ここ半世紀で、仕事の進め方は大きく変わりました。
昔は、ドキュメントは全て手書きで作成していました。
業務連絡は電話か郵送でした。
そろばんや電卓を使って計算し、集計結果はやはり手書き…
今でも似たような事をする場合もありますが、昔は全てが手作業でした。
今は事務処理はOfficeか業務システムを使い、業務連絡の大半はメールやチャットツールで済みます。
丸一日掛かったような作業が、数分で済むようになりました。
ようするに、技術の進歩により仕事のスピードが数十倍から数百倍に上がった訳です。
ひとつひとつの仕事は早く済むようになりはしたものの、早く帰れるようになった訳ではありません。
労働時間は昔と大して変わっていません。
残業時間は減ったかもしれませんが、定時は殆ど一緒です。
その分、給料が何倍にも増えたのかというと、むしろ減っているでしょう。
作業に掛かる時間が減ったのに、なぜ労働時間は減らず給料も上がらないのでしょうか。
テクノロジーが進歩して生産性が向上しても、労働時間や収入は改善されない。
別に何もおかしくないのですが、若い頃はこの事が不思議でした。
答えは、世の中の生産性が上がると、サービスの要求レベルも同じくらい上がるからです。
別に岸田さんのせいではありません。笑
便利な機能を使えるようになったら、その恩恵を活かしたサービスを提供しないと、他の企業に先を越されて売り上げが落ちてしまうので、利便性の向上によって得られた余力は全てサービスの向上に投入して競争に勝つ必要がある、という事です。
なので、世の中は今後もどんどん便利になり続けますが、その事自体によって労働時間が減ったり収入が増えたりする事は今後も無いでしょう。
常に忙しくて経済的にも苦しいけど利便性だけは向上し続ける、というのが大半の人にとっての生活の実態です。
これを改善と捉えるか不健全と見做すかによって、幸福度はかなり左右されそうです。
果たして人工知能は、この基本構造を作り変えるような力を秘めていたりするのでしょうか。
私は、秘めていたりして欲しいです。